第1章 特別授業
「今、エコール・マジックは危機的状況に瀕している」
教頭は普段は見せない、真剣な表情で俺に話してきた
「危機的状況?」
「そう。
場合によっては外の世界と第二次戦争が起きてしまう」
「?!」
外の世界と戦争
それは既に一度起きている事
俺が生まれるずっと昔
外の世界、科学を中心とする人間と
魔法を中心とする人間がぶつかり合った
原因は科学側の宣戦布告、と言われているが実際のところは不明だ
戦後、調査したところ戦争が起きる以前に謎の失踪者が多くいた事がわかった
謎の失踪者は自ら姿を消したのではなく、科学側に誘拐されたのだ
失踪者が科学側でなにされてるかは、誰でもわかる
薬漬けにされ、実験体にされ、体を、心を弄られたんだ
それに怒った魔法側が先に宣戦布告をした・・
とも、言われている。
多くの犠牲者が出た
多くの建物が壊れた
多くの食べ物がなくなった
そんな何もメリットがない戦争が、再び起ころうとしているだと?
「デリック・・私は二度と大切な人達を戦争なんかで亡くしたくないわ。
あなたも、戦争でお父様を亡くされているからわかるでしょ?」
「あ、ああ」
「ですから、クラトスとデリックに特別任務を授けます!」
教頭は二枚の金色の用紙を机の中から取り出した
「あなた達二人には明日から高級寮でルームシェアしながら、外の世界に情報を流している密告者を見つけてもらいます。」
「密告者を見つけるって・・クラトスはともかく、俺はずば抜けて成績がいいわけでもないし、得意魔法があるわけでもないんだ!
そんな俺に・・・」
「大丈夫よ、デリック。
貴方にはクラトスがいるのですから・・」
教頭は微笑んで言うが、俺は断りたかった
けど、教頭はどうしても俺とクラトスに任務を授けたいらしい。