第1章 特別授業
一限目 変身術
第一学年の必須科目であり、俺の一番嫌いな科目だ
今日は校長に会いに行き、手紙の答えをださなくちゃいけない
「では、このヤギをペガサスに変えてみろ。
今俺がみせたような呪文をそのまま唱えてみればできる」
変身術の教師が魔法の杖を持って生徒に話している
ヤギをペガサスに変えるなんて、誰ができるんだよ
ペガサスっていうのは幻想の生き物
それを現世に出現させるのは召喚術であって、変身術でやるものじゃないだろ
俺は心の中でそんな気持ちを圧し殺しながら、目の前にいるヤギにむかって呪文を唱えようとした
だが、隣の席の生徒がいきなり悲鳴をあげた
「きゃああああああ!」
「?!」
女子生徒の悲鳴に、耳が痛くなった俺は思わず怒鳴り散らすところだった
「おい、いきなり叫ぶ・・」
「あわわわ・・!
どうしよう・・ヤギが・・あああ・・!」
「は?」
女子生徒は目の前のヤギに向かって、動揺している
俺が見た時は、そのヤギは人のような手足を生やし、完全に化け物の領域になっていた
「お、おい!
これ、完全にペガサスじゃねえだろ!」
「ご、ごめんなさい!
先生と同じ呪文を唱えただけなの!」
「はぁ?!
だったらペガサスになるはずだろ!」
「で・・でもっ!」
俺と女子生徒が口論してる間に、ヤギは化け物になりつづけていっている
「どけ。」
「!」
俺の体をグッと押し倒したのは、同じクラスの生徒
「йЮЯссц」
生徒が解呪術を発動させると、化け物のヤギは
みるみる人間に戻っていった
「あっ・・」
「よし、これでいいだろ。」
「すっ、すごい!」
ヤギを化け物の変えた女子生徒が、ヤギに抱きつき泣きだす
「よかった・・ごめんね、怖い思いさせたよね!」
俺は呆れた
授業用のヤギに、何でここまで愛着をもてるのか
・・よくわからない奴だ。