第1章 特別授業
この歳で母親のことしか気にしないなんて、ただのマザコンだと思うが・・・
それでもいいんだ
女一つ手で俺を育ててくれたこの人だけは
守ってやりたい
少し、寂しい思いをさせてしまうけど
また時間ができれば顔ぐらいは見せてあげれるだろう
「ごめんな、母さん。
寂しい思いをさせてしまうよな」
「いいえ、私は大丈夫よ。
・・そうね、行くと決めたなら荷造りをしなくちゃ!」
「俺一人でもできるよ。
いつまでも子供扱いしないでくれ」
「フフ・・お母さんにとっては、あなたが何歳でも子供なのよ。
・・最後の夜になるのですから、甘えなさいよ」
「・・・ああ、わかったよ」
俺は母親と明日のために荷造りをし、いつも以上にたくさん話した
昔、死んだ父親の事も普段なら言いたがらないのに
その日の夜はとてもよく話してくれた
だからか、俺は少しすっきりして家を出ることができた。