第2章 2
薄暗い部屋の中、月明りに照らされてぼんやりと浮かび上がる川島の端正な顔に、半分影が落ちている。
川島が着ているシャツの胸ボタンを、片手でひとつずつ外しながら近づいてくる。
たまらなく色っぽかった。
情欲的なその仕草を見たとたん、お嬢様はまた身体の奥がジンジン痺れ、濡れていくのがわかった。
川島がスローな動きで覆いかぶさってくる。
ベッドが軽く軋んで揺れた。
目の前には、シャツがはだけた胸板。
なめらかで張りのあるその肌から、またワインの甘い香りが漂い酔ってしまいそうになる。
お嬢様は咄嗟に目をそらした。
「背中もキレイにしましょうね」
いって川島はお嬢様をうつ伏せにした。
髪を横に流し、うなじから耳を舐めはじめる。
耳朶(みみたぶ)を甘噛みしながらブラウスをたくしあげ、ブラのホックを外す。
川島の舌がうなじから下りてくる。
「お嬢様の肌……なんでこんなに甘いんですか。オレ以外に知ってるやつ……いないでしょうね?」
ひとりごとみたいに呟きながら、肩を、二の腕を撫で、背骨に沿って舌を這わせる。
「ぁ!……はっ……」
自分でも思った以上に背中が敏感になっていた。勝手に荒くなる息をこらえていると川島が耳元でささやいた。
「答えてください、お嬢様」
そのまま唇で耳朶を弄ばれる。
溶けてしまいそうだった。
「んッ……いない……いるわけない。なんで?もうやだ……わけわかんない川島」
「わかんない?そうでしょうね」
フッとまた怖い笑い方をして、お嬢様の腰を持ち上げると膝をつかせた。
四つん這いになり、まるで動物みたいな体勢を取らされて、お嬢様は身体の体温が一気にあがるのを感じた。
泣きそうなお嬢様にかまわず、腰をさらに高くあげさせ膝も大きく開かせる。
「凄い……さっきよりもっと濡れてる」
「……ッ」
お嬢様の腰から下が羞恥で顫(ふる)えた。
川島はもう一度、凄い……と嬉しそうに呟くと、さっきと同じようにまた下着の上から舐めはじめた。
なぜか下着も、服さえも脱がせようとしない。