第3章 case 1
雅紀「何で、そんなこと言ったのか、自分でもわからないんです…」
「はあ…そうですか」
安易だな。
男が好きで逃げられると思ったのか?
てか、その前に男と婚約したって言われてもなー。
親はそんなんで説得できないだろうに。
「まあ、とりあえず。俺、あなたのことなんて呼びましょうか?」
雅紀「えと、あの…じゃあ、雅紀で。…前の彼女には、雅さんって呼ばれてました。あ、聞いてないですよね?ははっ、ははっ…」
うん。聞いてねえ。
「雅紀かあ…。なんか、俺的には“まーくん”って感じなんすけど、どうですか?」
雅紀「“まーくん”…ですか?親以外で初めて呼ばれました。友達には、相葉か相葉君だったし。なんか、照れますね…ははっ」
そう言って、頬を赤らめて後頭をカシュカシュと掻いた。
マジで俺より年上なのか?
「俺のことは、ニノでも、カズでも、好きなように呼んでください」
雅紀「うーん?…それじゃ、カズ」
ドキッとした。
何でだ?名前呼ばれたくらいで。
他にも呼んでくるヤツいるのに。
「それじゃあ、細かいことも決めていきましょう?とにかく、親御さんを信じさせないといけないですからねー」
雅紀「う、あ、うん。…そうですね…」
なんだろう?まーくん、顔が赤い。
「まーくん。熱があるの?顔、赤いよ?」
雅紀「えっっ‼だ、大丈夫、です。き、緊張してるのかな?」
「まーくん。敬語は止めて。俺たち付き合ってるんでしょ?それに、俺の方が一個下だし」
雅紀「あ、そうなんで…そうなの?じゃあ、カズは、25?」
こくりと頷く。
それから、外では寒いから、とまーくんの母親との待ち合わせ場所のホテルに行くことにした。