第3章 case 1
「はい、二宮です」
依頼人「あの…はじめまして。今日は、よろしくお願いします!」
頭が地面に付くんじゃねぇかってくらい、お辞儀してくる。
なんとも爽やかな、人の良さが溢れ出ている。
赤いダッフルコートがよく似合ってんなあ。
それにしても、無駄にスタイルがいいなあ。
松にいもスタイルいいけど、この人は違った感じかな?シュッてしてるし。
依頼人「…あ、あのぉ。僕…時間、間違えました?」
「あっ、いえ、合ってます。俺が早く着いちゃったんです。えっと…はじめまして。二宮和也です。こちらこそ、お願いします」
握手を交わしてから、ベンチに座る。
依頼人「すみません。こんな変なこと頼んで。他の所にも、かけあったんですけど全部断られてしまって…。やっと、御社が引き受けてくれたんです。ありがとうございます」
「まあ、そうでしょうね…。ところで、本当に俺なんかでよろしいんですか?」
依頼人「はい。貴方がいいんです!写真見た時から決めてました!」
俺の目を真っ直ぐに見て言ってくる。
…決めてました、とは?
この人、天然か?
なーんか、調子狂うなぁ。
この人の目を見てると、捨てられた仔犬みたいで放っておけなくなってくるんだよなぁ。
「でも、親御さんを説得させるのなら、女性の方が…」
依頼人「そうでしょうけど…。あの、事前に社長さんにもお話したんですが、田舎でお見合いさせられそうなんです。僕、まだこちらでやりたいこともあって。それで、思わず言ってしまったんです。………僕は男が好きで、婚約もしたんだ!って」