第3章 case 1
松岡「おい、ニノ。これ、依頼人の資料な。それから、こっちが…」
「オッケー、松にい。読んでおくから」
松岡「社長!と、言・え!」
「ははは。ところで、待ち合わせ場所と時間は?」
松岡「あん?あっとな…Y公園のベンチん所だ。依頼人は赤い服を着て待ってるそうだ。それと、時間は…あっ!あと一時間もねえ⁉急いで出ろ!あっ、それと、依頼人に会う前に資料に目を通しておけよ!」
松にいが、クリアファイルに入れられたA4のレポート用紙の資料を渡してきて、背中をぐいぐいと出入り口の扉の所まで押してきた。
「はいはい。んじゃ、向こうで読んでおくから。じゃ、行ってくるね~」
松岡「はいは一回な!」
「はいはーい」
扉が閉じる直前まで松にいが何か言ってたけど、華麗にスルーして急いで待ち合わせ場所に向かった。
当然、節約の為に走って行った。
「ふぅ。なんとか資料を読めそうだな?」
待ち合わせ時間の20分前に着いた。
汗だくになりながら、資料に目を通す。
「えっと…なになに?」
依頼人の名前は…っと、はあ⁉男みたいな名前だなぁ?
年は…ひとつ上か。
1ヶ月前に3年付き合っていた恋人に振られた。ふむふむ。
田舎に住む母親から「26にもなって、イイ人はいないのか?」と催促され、振られたばかりなんて言えなくて「この間婚約した」と言ってしまった。
その、相手というのは…
依頼人「あのー…、お待たせしてすみません。ニノミヤ…さん、ですよね?」
「はい」
名前を呼ばれ、顔を上げる。