第3章 case 1
──さあてと、今日も元気に働きますかな?
「おはよーございあーす、松にい」
松岡「ニノ。てめっ!社長って言えよっ!って何度も言ってんだろーがっ!」
ここは、松岡昌宏社長が経営する便利屋。
従業員は、俺、二宮和也と大野智の二人だけだ。
それに、俺たちは高校の先輩後輩の仲だから、気なんか使わない。
「ままま、いいじゃーん♪んで?今日は依頼入ってんの?」
松岡「~ったくよぉ。えーっとな。お前をご指名で、一件入ってるぞ」
「ふ~ん?どんなの?また、結婚式の友達役?」
松にいは、資料を見ながら、
松岡「……えーっとな。婚約者の役だ。親が上京するから、会って欲しいらしい。…あ、スーツ着用して来てくれって言ってたな」
俺は、高校で演劇部に所属していたから、こういう依頼が多い。
智は、俺と違って、ペット探しや老人の家の掃除などが多い。
智のやつ、何でか年寄り子供に好かれるんだよなあ。
ロッカーから、スーツを選び、着替える。
松岡「お、良いじゃん。流石だねー、お前は」
「まあね~♪」
調子に乗るな、ってデコピンされた。
おでこを擦っていると、智が缶コーヒー片手に部屋に入ってきた。
智「お?また、結婚式か?」
違うよ、なんて言いながらのいつも通りの風景。
でも、この日は、いつもと違ってた…。