第4章 日常
5人でする勉強は何だか楽しかった。
基本的には別々に勉強してるんだけど。
分からないことがあったら、聞けばすぐに翔くんが教えてくれる。
いつも分からないことがあると後回しにしちゃって、結局めんどくさくなったり忘れちゃったりして分からないままなことが多かった。
だから、その場ですぐ教えてもらえるのってすごい有難い。
しかもニノが言ってた通り翔くんの説明はとっても分かりやすい。
理解出来ると問題を解くのが何だか面白くなってきた。
翔くんが雅紀を見てる時は、ニノや潤も教えてくれる。
ニノは知ってたけど、潤も頭いいんだな。
でも俺や雅紀にはすごく有難いけど、みんなには何かメリットあんのかな。
迷惑かけてないかな。
ふと、心配になった。
「智どうしたの?どこか分からない?」
「へ?」
「なんか難しい顔してる」
どうやら顔に出ていたらしい。
ニノに眉間をツンツンされた。
「いや、勉強じゃなくてさ」
「なに?」
「こうやって教えてもらえて俺はすごい有難いけど、みんなの邪魔してるんじゃないかって思って」
心配を口に出したら、雅紀も神妙な顔して頷いた。
同じこと感じてたのかな。
でも3人は何でもないことみたいに笑った。
「何言ってんのよ」
「教えるのって自分の勉強にもなるんだよ?」
「それにみんなで勉強するの楽しいしね」
「そんなこと気にすんな」
何だかジーンとしてしまう。
心なしか雅紀の目も潤んでない?
「さ、そんな心配しなくていいから!試験の心配して!」
ニノに肩をベシッと叩かれたから、また勉強に集中することにした。
それにしても···
前髪にハートをくっつけたニノは本当に可愛らしい。
今までのニノだったらこんなのつけなかっただろうって思う。
それが翔くん相手だとあんなにニコニコしちゃって。
本当に好きなんだな。
このまま上手くいくといいね。
たぶん大丈夫だろうけど。
ずっと大切にしてもらうんだよ。
何だか娘の幸せを願う親みたいな気持ちになってきちゃった。