第26章 お泊まり
「お邪魔します♡」
カズが嬉しそうにベッドに上がってくる。
俺のベッドは普通にシングルだから、いくらカズが華奢でも2人で並ぶと狭い。
あああ、カズが近い!!
真横にカズの顔がある!!
心臓がバクバクして今にも飛び出しそうだ。
「ねぇ、翔ちゃん♡手つなご♡」
そんな俺の心情を知ってか知らずか、カズは嬉しそうに手を握ってきて。
「うふふ♡幸せ♡」
なんて、無邪気に可愛らしく笑う。
あああ、ドキドキがおさまらない!!
「修学旅行では部屋が別々だったからさ」
「うん…」
「一緒に寝るの初めてだね」
「う…ん…」
「嬉しいけど、なんかすげー緊張しない?」
「………」
「カズ?」
緊張を誤魔化すように口を動かし続けていたけど、すぐにカズの相槌が途切れて。
そーっと横を向けば、カズは瞼を閉じてスヤスヤと寝息を立てていた。
早っ!本当に眠かったんだな…
安心しきったあどけない寝顔は本当に可愛くて。
俺のこと信用してくれてるのが分かる。
嬉しいよ?嬉しいけども!
意識してドキドキしているのは俺だけかと思うと複雑な気持ちにもなる。
………いや!やっぱりこれでいいんだ!
変に意識されて距離置かれたら、それはそれでショックだもんな。うん。
幸せなのは確かなんだから、ごちゃごちゃ考えるのはやめよう。
その後は、可愛い寝顔に釘付けで。
カズが寝返りを打つ度に俺の腕の中に飛び込んで来るから、胸のドキドキも全然おさまらなくて。
結局俺は一睡も出来ないまま、朝を迎えたのだった。
ちなみに、寝起きのカズもめちゃくちゃ可愛かったです。
end