第4章 日常
「そりゃ翔くんに教えてもらえたら心強いけど···」
「じゃあ一緒に勉強しようよ」
「2人だけじゃなくていいの?」
潤に言われて気付いた。
気を遣ってくれてたのか···というか、智くんも俺の気持ちに気付いてるの?
俺そんなに分かりやすいんだろうか。
潤にもすぐバレてたし。
カズにバレるわけにはいかないんだけどな。
気をつけないと。
「全然いいよ。一緒にやろうよ」
カズだってみんなと一緒の方が楽しいだろうしね。
「じゃあ、遠慮なく···あ、でも今週は部活行きたいんだ」
智くんがそう言うと
「俺も今日は予定あるんだ」
潤にも断られた。
潤は女の子との約束かな。
「そっか···残念」
「来週は部活停止になるから。月曜からお願いします」
「分かった、じゃあ来週ね」
「あ、雅紀にも声掛けていい?」
「もちろん」
最近は昼は毎日5人で食べてるし、帰りも部活や予定がなければ一緒に帰ってる。
だから、クラスは違うけど雅紀とも仲は良い。
それに、知り合ったのが最近だなんて思えないくらい5人でいるのが自然で、居心地が良いんだ。
「カズ今日は2人だけどいい?」
「俺は全然いーよ!翔ちゃんは俺と2人だけで嫌じゃない?」
「嫌なわけないよ」
少し心配そうな顔をしたカズの頭をぽんぽんと撫でたら、にっこり笑ってくれた。
「じゃ、帰るわ」
「俺ももう行くね。また明日ね」
何故かまた呆れ顔の潤と智くんにバイバイをして、俺も鞄を持つ。
「どこでやろうか?」
「図書館か自習室?それかカフェスペース?」
同じように鞄をつかんだカズが、首をかしげる。
「今日は2人だから図書館にしよっか」
「うん。俺、図書館ちゃんと入るの初めてかも」
中庭を抜けて図書館へ向かう。
うちの図書館は中等部と共通で、独立した建物になってる。
だから図書室じゃなくて図書館と呼ばれてる。