第4章 日常
情けないとは思うけど、ついでだともう少し愚痴らせてもらう。
「ぶっちゃけついでにもっと言うなら、俺は雅紀も羨ましい」
「へぇ」
「カズって雅紀にだけちょっとキツイようなこと言うじゃん。でもそれってさ、絶対的な信頼があるから言えるんだと思うんだよ」
あんなに可愛いカズが雅紀には当たりが強くて、見てて驚くこともあるんだけど。
雅紀は全く動じないで、笑って受け止めたり流したりしている。
「そうだろうな。あれはある意味甘えだよな」
「何言っても大丈夫って思えるしっかりした土台みたいなものがあるからこそなんだろうなって」
カズと雅紀は小学1年からの付き合いらしいから、それこそ俺が太刀打ちできない深い絆があって当然なんだけど。
2人の信頼関係が羨ましい。
別にキツイこと言われたい訳じゃないけど、俺にももっと色んなカズを見せてほしい。
「カズの智くんや雅紀に対する態度は、俺に対する態度とは違うから···もしかしたら俺には素のカズを見せてくれてないのかなとかさ。思っちゃうんだよ」
話しながら少しへこむ俺に、潤はちょっと呆れたような顔をした。
「例えばさ、家族と友だちに対する態度って一緒?違うだろ?」
「え?···うん、そりゃ」
「翔だって俺らとニノとで態度変わるだろ?でもそれってわざと?自然にそうなってるんじゃないの?ニノだってそれと同じなんじゃない?」
潤の言葉はストンと俺の中に落ちてきた。
言われてみれば、その通りだ。
潤たちに対するのとカズに対するのとは違う。
やっぱりカズにはいいとこ見せたくてちょっとカッコつけちゃったりするし。
それって俺だって素を見せてないってことになるのかも。
でも別にわざとやってる訳じゃないし。
相手との関係はちょっとずつ違うんだから、接し方が違うのだって自然なことなのかもしれない。
「なんかすごい納得した。ありがとな、潤」
「別に礼を言われるほどのこと言ってないけど」
素直に感謝を伝えたら、照れたように笑った。
いつの間にかぎゅうっと抱き合ってるカズと智くんを見たらやっぱり羨ましくなるけど。
「俺にはニノの翔への態度も他のみんなへの態度とは違うように見えるよ。翔にしか見せない顔してる」
潤にそんな風に言われて、例え励ましだとしても嬉しかった。