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キミのとなりで【気象系BL】

第26章 お泊まり



何とかかんとか、カズもケーキを食べきったところで

「カズくん、飲み物のおかわりはいかが?」

母さんがお茶のおかわりを勧めてきた。

「いえ、もう…」
「ぼくがカズくんにもってく!」

カズは断ろうとしたんだろうけど、断りきる前に弟が張り切って手を挙げて。

「えと、じゃあ、はい…いただきます…」

そのキラキラの瞳に押し切られるように、カズが頷いた。

ごめん、カズ…

危なっかしい手つきで、そろそろとコップを運ぶ弟をハラハラしながら全員で見守ってたけど。

あと少し…というところで、ある意味予想通りに躓いてしまって。

手を伸ばしたカズが受け止めたから弟もコップも無事だったけど、中身は全部カズが被ることになった。

冷たいお茶だったから火傷の心配はないけど、 Tシャツもハーフパンツもびっしょり濡れてしまってる。

「修くん、大丈夫?」
「カズくん…ごめんなさい…」

自分のしでかしたことを目の当たりにした弟は真っ青になって。

ひっくひっくと泣きながら謝る弟に、カズは少しも嫌な顔をせず優しく微笑みかけた。

「こんなの気にしなくていいよ。俺のために頑張ってくれてありがとうね」

いいこいいこと頭を撫でるカズは、天使なのか、はたまた聖母なのか…

カズの笑顔にボーッと見惚れる俺の横を、タオルを抱えた母さんがバタバタと通り過ぎていった。

「ごめんなさいね、カズくん」
「いえ…」
「これはシャワー浴びた方が良さそうね。服はすぐ洗うから…」
「すみません」

もう風呂には入り済みだったんだけど、母さんに急き立てられてカズは再び風呂場へ向かって。

「翔!ボケッとしてないで服貸してあげて!」
「すぐ出すよ!カズはシャワー浴びててね」

怒鳴られて我に返った俺は慌てて自分の部屋へと走った。

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