第23章 雪あそび
そこにあったのは…
「雪うさぎ…?」
「うん♪」
智はドヤって得意げな顔してるけど。
「いくつ作るのよ…」
雪うさぎは1つや2つじゃなくて。
パッと見ただけじゃ数え切れないくらいある。
しかも全部耳と目がついてて。
よく見たら近くの南天の木が心なしか寂しくなってるじゃん!
「まだまだ作るよ!」
智はそんなのお構いなしに、また雪を丸めて南天の実に手を伸ばすから
「待って!もうダメ!南天の木がハゲちゃう!」
慌ててその手を掴んで止めた。
「えー…」
「えーじゃないの!」
智が不満そうに口を尖らせる。
子どもか!
「もう!潤くんも黙って見てないでもっと早く止めてよ!」
「いや、智があんまり楽しそうに作ってたからさ…」
潤くんに文句を言ったら、なにやら口の中でモゴモゴ言ってたけど。
要は楽しそうな智が可愛くて見惚れてたってこと?
…まぁ、仕方ないか。
好きなことしてる時の智って本当にイキイキしてて可愛いもんね。
1つため息を吐いて、まだふてくされてる智に向き直る。
「ねぇ、目は小石にして耳は落ち葉にしよ?」
近くに落ちてた葉っぱを拾って、智の作った雪玉にくっつける。
「落ち葉は枯れてるからやだ」
「いいじゃん!おじいちゃんうさぎとおばあちゃんうさぎ!」
まだごねる智を無視して、小石で目を作る。
うん!可愛いじゃん!
「ぷぷっ…本当におじいちゃんとおばあちゃんみたい」
俺は可愛いと思ったのに、智は出来た雪うさぎを見て吹き出した。
「可愛くない?」
「ふふ…ううん、可愛いよ」
やっぱりこれじゃ納得してくれないかなって不安になったけど、智はいつものニコニコ笑顔に戻ってた。