第23章 雪あそび
ーNsideー
翔ちゃんと智たちを探して。
校庭には居なそうだったから中庭に行ってみることにした。
翔ちゃんのポケットの中で繋いだ手がポカポカあったかい。
さっきまで凍っちゃいそうなくらい冷たかったのが嘘みたい。
こんな少女マンガみたいなことサラッとされてさ。
嬉しいけど恥ずかしくて。
朝も今もドキドキが止まらない。
胸なんてポカポカ通り越して燃えちゃいそうに熱いよ。
でも動揺してるのは俺だけ。
翔ちゃんは何でもない顔してる。
翔ちゃんは純粋に俺の手をあっためてくれようとしてるだけだから当たり前なんだけど。
俺がはしゃいだフリしながらドキドキがバレないように必死だったの、翔ちゃん知らないでしょ。
今も何でもない顔して笑うの、すごく頑張ってるんだから。
まぁ、気付かれたら困るんだけど。
ねぇ、翔ちゃん。
これからもこの気持ちは隠し通すから。
だからまた手が冷たくなったらあっためてね。
智たちは中庭にいた。
しゃがみ込んで無心で何かを作ってるっぽい智と、その傍らで寒そうに凍えながら智を見守ってる潤くん。
「智ー!潤くーん!」
呼び掛けてみたら2人ともパッと振り向いた。
「ニノ!」
ニコニコしてる智は集中モードじゃなかったらしい。
潤くんが翔ちゃんのポケットをちらりと見た気がしたけど特に何も言われなかった。
「雪合戦終わったの?」
「雅紀はまだやってるよー。俺は疲れたから抜けてきたの」
「そっか」
「智は何作ってるの?」
近付いて行ったら、智が体をずらして見せてくれた。