第23章 雪あそび
「寒かったでしょ?ごめんね」
視線を落としたら、目に入ったカズの手。
よく見たら手袋をしてなくて、指先も真っ赤で。
「カズ、手袋は?」
「なんか見当たらなくて…なくしちゃったのかな?」
カズは何でもない顔をしてるけど、慌てて手袋を外してその手に触れてみたら氷みたいに冷たかった。
「霜焼けになっちゃうよ」
急いで手袋の片方をカズの手にはめる。
「わっ、いいよ!翔ちゃんが寒いでしょ」
「いいから」
遠慮して外そうとするのを止めて、手袋をしていない方の手は掴んでそのまま俺のコートのポケットに入れた。
「………っ///」
カズは驚いたように目を丸くしたけど、手を振り払われることはなかった。
「ありがと、翔ちゃん///」
ちょっと照れたようにはにかむと、ポケットの中で俺の手をきゅっと握ってくれた。
「あったかい///」
「ふふ、良かった」
カズの冷たい手を早く温めてあげたくて、しっかり握り返して。
「行こっか」
そのまま学校に向かう。
まだあまり人の歩いていない真っ白な道。
「足跡つけたくなっちゃうね」
綺麗な所を見つけては無駄に足跡をつけて。
太陽を反射してキラキラしてる雪の中、子どもみたいにはしゃぐカズが可愛くて、その笑顔が眩しい。
滑って転びかけては笑って。
本当に転ばないように支え合いながらゆっくり歩く。
ふと何気なく振り返ったら、遠くから自分の足元までずっと続いている並んだ2人分の足跡。
並んでずっと続いていることがすごく嬉しくて幸せで。
ここは通学路で、きっとあと数十分もすれば大勢に踏まれてグチャグチャになってしまうから。
今のうちにと、2人の足跡をしっかり目に焼き付けた。