第23章 雪あそび
ーSsideー
朝起きて窓を開けたら、あたり一面真っ白になっていた。
この辺は雪なんてあまり降らないし、ましてや積もることなんて滅多にないから、珍しい雪景色に少しテンションが上がる。
でも、同時に心配もあって。
今はやんでるけど、電車は大丈夫だろうか…
今日もカズに会いたいから学校には何としても行きたい。
結局、電車は動いていたけれど徐行運転で。
早めに家を出たつもりだったけど、学校の最寄駅に着くのはいつもより少し遅くなってしまった。
カズには遅れるかもしれないから家で待っててと連絡しておいたけれど。
それでも急いで待ち合わせ場所に向かうと、カズが手に息を吹き掛けながら寒そうに待ってた。
その首元にはクリスマスにプレゼントしたマフラーがしっかり巻かれていて。
それがすごく嬉しい。
当然俺の首にも同じものが巻かれていて。
おそろいのものを身に付けているだけで、とても幸せな気持ちになる。
でも今は幸せに浸っている場合じゃない。
「ごめん、カズ!」
駆け寄りたいけど、滑りそうで走れない。
出来る限りの急ぎ足で近付くとカズはにっこり笑った。
「おはよ、翔ちゃん。電車大丈夫だった?」
「うん、一応動いてた。でも遅くなってごめん…家で待っててくれて良かったのに…」
「全然待ってないよ?来たばっかりだもん」
ニコニコしてるカズはマフラーを口元までぐるぐる巻いてるけど、マフラーからのぞく鼻の頭は赤くなってて。
きっと俺に気を使わせないようにそう言ってくれてるだけで、実際には待たせてしまったんだと思う。