第21章 調理実習
ーNsideー
プリンをフライパンで蒸し焼きにして。
竹串で確認して大丈夫そうだったから、取り出そうと手を伸ばしたら
「カズ、俺がやるから」
翔ちゃんに止められた。
「翔ちゃん、だって熱いよ?」
「だから俺がやるの。カズが火傷したら大変でしょ?」
「大丈夫だよ」
俺だって男だし、もし火傷したってそれくらい···って思ったのに
「ダメ!もし火傷してこの可愛い手に跡でも残ったらどうするの!?」
翔ちゃんに手を握られて、顔が赤くなるのが分かる。
「可愛くないってば···」
「とにかくダメだからね!」
「···分かった。でも翔ちゃんも本当に本当に気を付けてね。俺だって翔ちゃんが怪我するのヤダもん」
「カズ···」
手を握りしめたまま、少し見つめ合っていたら
「どっちでもいいから早く取り出さないと火が入りすぎるぞ」
潤くんに冷静に突っ込まれて慌てて手を離す。
結局、翔ちゃんがあちちって言いながらプリンを取り出してくれた。
無事に時間内に全部完成して。
みんなで協力してお皿に盛り付けていく。
「翔···お前もうちょっと···こうさ···」
「ん?」
「いや、なんでもね」
サラダを担当してる翔ちゃん。
潤くんはその盛付けが気になったみたいだけど、翔ちゃんの真剣な顔を見て口を閉じた。
確かにちょっと独創的かもだけど···
別に見た目なんてどうでもいいよ。
食べちゃえば一緒だもん。