第21章 調理実習
翔くんがおっかなびっくり卵と闘っている間に、ニノは手早く牛乳をあっためたり、カラメルソースを作ってカップに入れたりしてて。
「出来た!」
「やったね、翔ちゃん♪上手に割れてる♪」
なんとか全部割り終えた翔くんを褒めると、泡立て器を持って
「俺が混ぜるから翔ちゃんお砂糖入れて?」
「うん」
「次はそのお鍋の牛乳、ちょっとずつね」
「うん」
「あとはバニラエッセンス」
「···どれくらい?」
「2~3滴かな···うん、それくらい」
シャカシャカ混ぜながら次々翔くんに指示を出していく。
「そこにプリンカップ並べてくれる?」
翔くんが並べてる間に卵液をさっと濾すと、カップに卵液を流し入れていく。
「翔ちゃんアルミホイルで蓋してー」
「はーい」
自分はチャカチャカ作業を進めつつ、翔くんにも出来ることをどんどん振っていく。
簡単なことばかりだけど、翔くんは嬉しそうに頑張っていて。
「ふふ、翔くん初めてのお手伝いみたい」
「智!笑いたくなる気持ちは分かるけど、調味料入れてくれる?」
ついニノたちに気を取られていたら、いつの間にか潤が材料を炒めてくれていた。
「あ、ごめん!」
言われた通り用意しておいたカレー粉やらスパイスやらなんやらを投入していく。
「あー、良い匂い」
「いい感じだな」
漂い始めた良い香りに潤と並んで鍋の中を覗き込んだ。
「どうでもいいけど、智のみじん切り細かすぎじゃね?」
「バレた?なんか楽しくなっちゃってさ」
「別にいいんだけどさ。細かすぎて炒めてたら消えたんだけど」
「あはは」
潤が呆れたような感心したような何とも言えない顔をするから、とりあえず笑っておいた。