第21章 調理実習
ーOsideー
料理なんて普段全然やらないんだけど。
このみじん切りってやつ、やってみたら意外と楽しい。
無心になれるし、どこまで細かく出来るか1人でこっそり挑戦したりして。
ひっそり楽しんでいたんだけど、目の端に映る翔くんの突飛な行動やらニノとのやり取りやらが、どうしても気になってしまう。
「潤くん、サラダはオッケーだよ。そっち手伝うことある?」
「いや、大丈夫」
「じゃあ、プリン作っていい?」
「ああ、頼む」
「はーい」
潤の返事を聞いたニノが卵を翔くんに手渡す。
「翔ちゃん、卵割れる?」
「たぶん」
卵を受け取った翔くんは、そのままボールの縁に思い切り叩きつけた。
「ちょっ、そんな力入れなくて大丈···」
「わぁっ!」
ニノの制止は間に合わず、卵は潰れてボールの中は殻だらけ。
「まぁ、想定内だな。ボールに入っただけマシだろ」
「いつもはもっとひどいってこと?」
潤が冷静に呟くから聞いてみたら
「今日は被害が全然ない。ニノの力だろうな」
「そうなんだ」
今日もかなりびっくりなこと色々してるのに、これ以上とか···すごいな、翔くん。
「ごめん···」
卵をうまく割れなかった翔くんは落ち込んでるけど
「大丈夫、どうせ混ぜちゃうんだから。殻取り除けばいけるよ!最後に濾すしね」
ニノは優しく励ましながら、ボールの中から殻を拾い上げていく。
「でもほかの卵はもうちょっと優しく扱ってね。平らなところでコンコンするといいんだよ」
「分かった。気を付けてやってみる」
こくりと頷いた翔くんは、次の卵は慎重にヒビを入れていてなんだか微笑ましかった。