第21章 調理実習
ーMsideー
翔のせいで授業が始まる前から疲れた。
にやけた顔して、あれ絶対ニノとの新婚さん妄想してただろ!
その後は可愛い攻撃。
2人のイチャイチャに慣れてるクラスメイトも苦笑いだったっつーの!
調理実習の班は自由に組めたから、翔とニノと智と一緒。
メニューはドライカレーとサラダとプリン。
正直、翔には期待してない。
っていうか、むしろ不安しかない。
中学の調理実習も研修旅行の飯盒炊飯も、それはそれは大変だったからだ。
「翔たちにサラダ頼んでいい?その間に俺と智でドライカレーの具を切っちゃうから」
「よし、任せろ!」
無駄に自信満々に答える翔に不安が増す。
出来ないやつが張り切るとロクなことがない。
サラダならそんなに危なくないと思うけど···
申し訳ないが翔はニノに任せよう。
ニノがどれくらい料理できるか知らないが。
「智ニンジンお願い」
「了解」
智も料理できるのか知らないけど、とりあえず俺はタマネギに取り掛かる。
ちらりと横目に見ると、智は器用な手つきでニンジンの皮をむいて細かく刻んでいく。
やるなー智!なんて感心していたら
「翔ちゃんっ!キュウリは縦に持っちゃダメ!包丁も刃を横に構えたら危ないよ!」
ニノの悲鳴じみた声が響いた。
翔を見ると、何故かキュウリをまな板と垂直に持ち、包丁を横に構えている。
「居合い斬りか!!」
「え?何か違う?」
「何もかも違うわっ!!」
ついキツめに突っ込んでしまったら、翔が不安そうな顔になった。
「翔ちゃん、キュウリはまな板に横に寝かせて?」
そんな翔にニノが優しく声を掛けた。