第21章 調理実習
「おい!」
潤に肩をどつかれて我に返った。
あまりのカズの可愛さに、一瞬遠い場所へ行っていたらしい。
「翔ちゃん?どうしたの?」
目の前には心配顔のカズ。
「お前さ、妄想ダダ漏れの顔になってたぞ」
「まぁ今日のニノも可愛いからね、気持ちは分からなくもないけど」
潤と智くんは呆れ顔だ。
ひとまずこの2人は置いておかせてもらおう。
大急ぎで顔を引き締めてカズに笑顔を向ける。
「ごめん、何でもないよ。ひもお願いしていい?」
そのまま後ろを向くと
「うん、もちろん」
カズはにっこり笑ってささっと結んでくれた。
「三角巾もやってあげる」
三角巾も器用に着けてくれると
「翔ちゃん赤似合うね!カッコいいよ!」
俺を正面からじっくり眺めてから、そんな可愛いことを言ってくれる。
「ありがとう。カズは可愛いよ」
「可愛くないもん」
「可愛いよ!めちゃくちゃ可愛い!」
「もう、翔ちゃんたら///」
照れて赤くなるカズが本当に可愛くて。
「だって本当に可愛い!日本一可愛い!世界一可愛い!いや、宇宙一可愛···」
「もう授業始まるから!終了!!」
まだまだ続けようとしたのに、呆れ顔のままの潤に強制終了されてしまった。