第21章 調理実習
ーSsideー
今日は調理実習。
うちは男子校だが家庭科にも力を入れていて、調理だけじゃなく裁縫やら保育やら介護やら幅広く学ぶ。
俺が今、ひもがうまく結べず悪戦苦闘しているこのエプロンも授業で作ったものだ。
針が手に刺さりまくるわ、ミシンはまっすぐ進まないわでかなり苦労したが、カズに助けてもらって不恰好ながらも何とか形にはなった。
赤い生地を選んだおかげで、血の染みも目立たない。
それにしても、蝶々結びなんてまっすぐ向き合ってたって難易度高いのに、それを見えない後ろでなんて無理に決まっていて。
腕がつりそうになっていたら
「翔ちゃん結んであげよっか?」
さくっと自分の身支度を終えたカズが声を掛けてくれた。
ありがたい!
「カズ···」
お願いしようと振り向いたところで、口を開けたまま固まってしまう。
だってカズが可愛すぎるから!!!
俺のと違って綺麗に仕上げられた黄色のエプロンにお揃いの三角巾をつけたカズはまるで新妻みたいで。
こんな可愛い奥さんが家で待っててくれたら幸せだろうなって思う。
「お帰り、翔ちゃん♡お仕事お疲れさま♡」
とか言って、お玉持って出迎えてくれちゃったりして!
それでそれで!
「ご飯にする?お風呂にする?それとも···」
わー!わー!ダメダメ!それはダメだ!!
いくら想像だってふしだらすぎる!
カズに失礼だ!
えっと···
「ご飯あっためとくから、先に手洗って着替えてきて?」
とか!うん!
想像しただけでも、奥さまなカズは可愛い♡