第20章 想い届く
「俺ね、翔ちゃんと離れてた時、毎日食べてたの…こんぺいとう食べてる時は、もらった日のこと思い出して元気になれたから…」
カズの告白に胸が締め付けられた。
俺も渡した日のことを思い出す。
バレンタインから元気がなくなったカズを少しでも笑顔にしたくて。
でも何に悩んでるのか分からなくて。
聞いても教えてもらえなくて。
結局原因は俺だったんだから、少しでも気持ちが上がればと思って渡したささやかなプレゼントも的外れだったんじゃないかと思う。
それでもカズはすごく嬉しそうに受け取ってくれて、俺も嬉しかった。
でも、まさかそこまで…
苦しい時に心の拠り所にしてくれてたなんて…
「俺にとっては本当に魔法の薬だったんだよ。でもね、もうちょっとしか残ってないの…だから…」
カズがどれくらい俺のことを想っていてくれたのかを知って…胸がいっぱいになって…
まだ話してる途中のカズを抱き締めた。
「わっ…///翔ちゃん…?」
カズが真っ赤になって狼狽てるけど、手を離せない。
ただただ、カズが愛しかった。
「うん…お返しは金平糖にするよ…」
「ありがと///」
カズは耳まで真っ赤になっていたけれど、それでも嬉しそうに笑ってくれた。
こみ上げる涙を堪えて、俺も一緒に笑う。
ありがとう、カズ。
こんな情けない俺のこと、それでも好きでいてくれて。
本当にありがとう…