第20章 想い届く
「俺にお返しさせて?」
真剣に頼んだら、カズの目が迷うように揺れた。
「…なんでもいいの?」
小さい声で控えめに聞かれる。
それは、ほしいものがあるってこと?
「もちろん!」
なんだかんだで、何でもいいとかいらないとか言われるんじゃないかって思ってたんだ。
だから意外だったけど、教えてもらえるのはとても嬉しい。
カズの欲しいものならなんだって用意するよ。
どんなワガママだって聞いてあげたい。
「あのね…」
言いにくそうに言い淀むから、そんなに高価なものなのかなと首を捻る。
何となくそんなのカズらしくない気がするけど…
「いいよ、何でも言って?カズの望みならなんでも叶えるから」
俺の想いが伝わるように、カズの目をじっと見つめていたら
「………こんぺいとう」
真っ赤になったカズがぽそっと呟いた。
………こんぺいとう?
「金平糖がほしいの?」
耳まで赤くなって俯いたカズが、こくんと頷く。
もちろん金平糖でいい。
欲しいものを教えてもらえて嬉しい。
でもなんで金平糖?
そして何でこんなに恥ずかしそうなんだろう?
内心首を傾げまくっていたら
「あのね、前に翔ちゃんがくれたでしょ?俺のこと元気にする薬だよって…」
ぽそぽそとカズが話し始めた。