第20章 想い届く
「触るのは恥ずかしいのに、あーんは大丈夫ってさ。照れる基準が謎だよねー」
雅紀にまでうひゃひゃって笑われて。
反射的にキッと睨んだけど、雅紀はどこ吹く風だ。悔しい!
そんなの俺だって分かんないよ!
照れたくて照れてるわけじゃないんだから!
「こんな2人も初々しくて可愛いじゃん」
面白がってる雅紀や潤くんと違って智は優しい。
ね?って笑いかけながら、頭を撫でてくれるから
「智、大好き♡」
ぎゅって智に抱きついた。
相手が智なら全然大丈夫。
むしろ安心する。
そしたら、急に後ろからぐいって引っ張られて。
「えっ?なに?」
あっという間に翔ちゃんの腕の中…
「俺以外に好きだなんて言わないで」
耳元で囁かれて顔から火を吹いたかと思った。
こんなの心臓止まっちゃうよ…
でも…
どれだけ俺と仲良くしてもヤキモチなんか妬かないって言ってた潤くん。
智ってば、潤くんにめちゃくちゃ愛されてるなって思ったけど。
「俺重いよね…ごめん…」
情けない声に振り向けば、声と同じ情けない顔。
でもすごく愛おしい。
「ううん、そんなことない」
だって相手が智なのにヤキモチ妬いてくれたんでしょ?
それが俺はすごく嬉しい。
潤くんとは真逆だけど、俺も智に負けないくらい翔ちゃんに愛されてるのかも…なんて///
俺、自惚れちゃうよ?
翔ちゃんの腕の中でくるりと体の向きを変えて、俺も翔ちゃんの背中に腕を回す。
「翔ちゃんが好き…翔ちゃんだけが大好き…」
恥ずかしいから、みんなには聞こえないように、俺も翔ちゃんの耳元で小さく囁く。
「ずっとずっと俺の隣にいてね」
「うん」
返事と一緒に俺を抱き締める腕の力が強くなった。
いつの間にか、みんなの冷やかしも気にならないくらい幸せな気持ちが恥ずかしさを上回ってて。
約束だよ?
俺ももう離れないから…
本当にずっと一緒にいてね?
翔ちゃんの腕の中で幸せに浸りながら、強く強く願った。