第20章 想い届く
ちょっとぼんやりしてたら、翔ちゃんが小さく笑って手を伸ばしてきた。
「カズ、ご飯粒ついてる」
ひょいっと取ってくれた翔ちゃんの指が一瞬唇に触れて。
ぼんっと顔が赤くなるのが分かった。
「あっ…ごめっ…///」
「う、ううん///ありがと…///」
翔ちゃんに焦ったみたいに謝られて。
見たら翔ちゃんも真っ赤になってて、ますます恥ずかしくなる。
「お前らさぁ、今までさんざん人目も憚らずイチャついてたくせに、付き合い始めたら途端に照れるってなんなの?普通逆なんじゃないの?」
潤くんに呆れた顔されるけど、そんなの俺が聞きたいよ!
別にイチャついてたつもりはないけど。
今までの俺、なんであんな簡単に翔ちゃんに触れてたの?
手、繋いだり…
ぎゅって抱き締められたり…
お姫さま抱っこに…膝枕に…
手にキ、キスされたり…
ぎゃーーーーっ////
無理無理無理!!
思い出すだけで恥ずかしい!!
今そんなことされたら死んじゃう!!!
今までは、まさか翔ちゃんが俺のこと好きだなんて知らなかったんだもん。
友だちとしての行為だと思ってたんだもん。
だからドキドキはしてたけど平気だったんだよ。
両想いだって分かったら、すごく翔ちゃんのこと意識しちゃって…///
だって、こんなめちゃくちゃカッコよくて!
優しくて頭良くて、王子さまって呼ばれてる人が!
ずっとずっと片想いだと思ってた大好きな人が!
俺の…こ、恋人…だなんてっ////
信じられないくらい幸せで…
てか、本当に信じられなくて…
でも翔ちゃんがまるで宝ものを見るみたいな目で俺を見てくれるから…
どうしたって意識しちゃうもん!
恥ずかしくて照れちゃうもん!