第20章 想い届く
お昼休みはみんなで学食に行った。
なんだかすごく久しぶりな気がする。
学食は相変わらず人が多くてざわざわしてて…そういうの本当はあんまり得意じゃないし。
屋上のが静かだったし、開放的で気持ち良かった。
でも落ち着くというか。
戻ってきたって感じがする。
…本当は分かってるけど。
場所の問題じゃないって。
大事なのは誰と一緒にいるかってこと。
俺の居場所はやっぱり翔ちゃんの隣がいい。
翔ちゃんさえ居てくれれば、場所はどこでもいいんだ。
最近の俺はあんまりお腹が空かなくて。
今も買ったパンを持て余しちゃってたんだけど
「カズ、あーんして?」
「あーん」
翔ちゃんが自分のご飯を差し出してくれたから、それは素直に食べた。
「ちゃんと食べたね、えらい!」
「ふふ♡」
翔ちゃんが嬉しそうに笑って頭を撫でてくれる。
自分ではよく分からないんだけど、翔ちゃんと離れてた間になんかちょっと痩せちゃったみたいで。
翔ちゃんはものすごく心配してる。
そんなの気にしないでいいのに、翔ちゃんは自分のせいだって思ってて。
俺が食べないともっと自分を責めちゃいそうだから、頑張って食べる努力はしてる。
あと、俺が食べてると智も安心したような顔をする。
智もずっと心配してくれてたみたいで、そういえば俺にあれこれ食べさせようとしてた気がする。
翔ちゃんと離れてるときは、それどころじゃなくて…たくさん心配掛けちゃったから…
本当はもうお腹いっぱいで食べたくないけど。
これも罪滅ぼしのうちだと思って、2人のためにちゃんと食べなきゃね。