第20章 想い届く
すぅっと息を吸って、吐いて。
「俺も…すき…」
俺も勇気を出して想いを告げる。
小さくて震える声しか出なかったけど、それでも翔ちゃんに届いてくれた。
「………えっ!?」
翔ちゃんは大きな瞳をさらにまん丸に見開いて。
その顔には信じられないって書いてある。
翔ちゃんが驚いてるのは分かるけど…
一度口にしたら、想いが溢れてとまらなくなってしまった。
「翔ちゃんがすき」
ポロポロとこぼれ落ちる言葉。
「すき」
絶対伝えることなんて出来ないと思っていた気持ちを口に出来るのが嬉しくて。
ばかみたいに繰り返す。
すき
すき
すき
翔ちゃんがすき
「だいすき」
何度も何度も繰り返し伝えていたら、ぎゅうぅっと痛いくらい抱き締められた。
いつものふんわりした優しい抱き方じゃない。
力が強すぎて息もできないくらい苦しい。
でもこの苦しさがこれは現実なんだって教えてくれる。
「俺も大好き」
耳元で囁くみたいに告げられて。
あり得ないくらいの幸せに目がまわりそう。
心臓はドキドキうるさいけど、それでも翔ちゃんの腕の中はやっぱりとっても落ち着く。
「夢みたい…しあわせ…」
「俺、も…」
ふわふわした気持ちで呟いたら、翔ちゃんも何かを言いかけたけど不自然に途切れて。
「翔ちゃん?」
不思議に思って顔を上げて、声を失った。
だって翔ちゃんが泣いてたから…