第20章 想い届く
「はっ?」
勢いよく振り向いた中丸があまりにも驚いた顔をしてたから、申し訳なくなる。
「いや、不躾にごめん!…なんか、すげー優しい顔してニノのこと見てたからつい…いや、本当ごめん!」
「いや、いいよ。驚いたけど」
すぐに頭を下げたら、中丸は気にしないでと笑った。
いい奴だな。
中丸は笑うのをやめると
「可愛いなーとは思うけど、恋愛感情ではないよ」
もう一度ニノに目を向ける。
優しい表情で、優しい視線で。
でも確かにそこに恋愛の色は見えなかった。
「そもそも二宮くんには櫻井くんがいるじゃん」
「あー…まぁ、そうなんだけど…」
当たり前みたいに言われるが、それに関しては今は歯切れの悪い返事しか出来ない。
「何かあったんだろうけど…あ、何も聞いてないから具体的なことは何も知らないけどね」
中丸は優しい表情のまま続ける。
「二宮くんは今も櫻井くんのこと好きでしょ?」
そんな深い付き合いのない中丸にも分かるんだな。
「早く櫻井くんの隣に戻れたらいいと思ってるよ」
きっと本当にそう思ってくれてる。
本当にいい奴だ。
巻き込むみたいで悪いと思うけど。
こんなこと誰にでも頼めることじゃないし。
やっぱり中丸に頼らせてもらおう…
「なぁ…頼みがあるんだ…」
ニノのために力を貸してくれないか?