第20章 想い届く
教室にいたがらないニノに付き合って、昼休みに屋上で過ごすことがすっかり恒例になった。
翔や雅紀のことは心配だけど。
翔の側にいてもほとんど動きはないし。
話し掛けても会話にならないし。
雅紀には風間がついてる。
それなら俺は智と一緒にいたい。
智がついているとは言え、ニノのことも心配だし。
それに開放的な空間は単純に気持ちが良かった。
でも今日は別に目的がある。
智は、相変わらず食欲が落ちたままのニノに一生懸命食べさせようと頑張っている。
俺はそんな2人からそっと離れて、読書中の中丸に近付いてみた。
「隣いい?」
「どうぞ」
声を掛けてから隣に腰を下ろすと、中丸は読んでいた本を閉じた。
「邪魔して悪い」
「いいよ」
色々話したいことはあるんだが、何からどう切り出すのがいいか迷って。
なかなか口を開けずにいたら
「二宮くん楽しそうだね…良かった…」
ポツリと中丸が呟いた。
「二宮くんいつも泣きそうな顔してたから…あんな顔で笑ってるのを見れて、なんか安心した」
中丸はとても優しい顔でニノを見つめていて。
「ニノのこと好きなのか?」
その視線まで本当に優しかったから、つい口を滑らせてしまった。