第20章 想い届く
「だれ?」
「3組の中丸くん」
「友だち?」
「うーん…友だち…ではないかなぁ?」
智の疑問にニノも首を傾げる。
「ええ?じゃあ何なの?」
「屋上仲間?」
「なにそれー?」
キャッキャとじゃれ合う2人が可愛い。
そのまま始まった可愛いお喋りを隣で聞きながら、やっぱりここに翔と雅紀がいないのが寂しいなと思った。
「そろそろ教室戻るか?」
時間を確認して声を掛けると
「もうそんな時間?」
智が少し驚いた顔をした。
「まぁ、あとちょっと余裕はあるけどな」
ニノと一緒なのが嬉しくて時間が経つのが早かったのかな?
可愛いな…
一瞬デレっとしてしまったのをニノは見逃さなかったようだ。
ニヤッと笑うと
「中丸くん!教室戻ろ!」
中丸に声を掛けて一緒に屋上から出て行こうとする。
「え?ニノ?待って…」
置いてかれて焦る智は無視して、ニノは俺を見ると小さくウィンクして意味ありげな笑みを残して消えて行った。
気を遣われた…んだよな…
ちょっと苦笑したくなったけど、せっかくの好意だから有り難くいただこう。
「智…」
悲しそうに扉を見つめていた智をそっと引き寄せる。
「えっ?潤っ?」
驚いてワタワタするのを気にせず、今度こそしっかり胸に抱き締めた。
「ありがとう、智」
「…え?」
「俺のこと好きって言ってくれて」
「………」
返事がないから、そっとその顔を覗き込んでみたら、火でも吹きそうなくらい真っ赤になってた。