第20章 想い届く
「俺は…まぁ、智にはもう言ったけど。ニノのことが大好きな智を好きになったんだ。今さらニノにヤキモチも妬かねーし、2人に離れろなんて絶対言わないから。安心してイチャついてくれ」
ニヤリと笑って言ってやれば、ニノはますます目を丸くしたけど。
いつの間にか涙は止まって、やがてクスクスと笑い出した。
「潤くんて変な人だね」
「失礼な!ってか智と同じこと言うな!」
「智も同じこと言ったの?」
「全く同じだよ!」
「くふふっ」
怒ったフリをしてみたら、声を上げて笑う。
まだ頰に涙の跡が残っているけど、楽しそうに笑うニノの姿にホッとした。
「智とっても愛されてるね♡」
「……っ///ばかっ///」
「あはは!」
智を揶揄うような軽口も飛び出して。
真っ赤になって怒る智も、心底安心したように笑ってて。
いつものやり取りが戻ってきたことが心から嬉しいと思った。
智とニノだけでも元の関係に戻れて本当に良かった…
なんだかしみじみと喜びを噛み締めていたら
「あれ?今日は人が多い…」
突然、聞き慣れない声が飛び込んできた。
「あ、中丸くん」
振り向いたニノがニコッと笑う。
そこにいたのはニノが言う通り中丸だった。
内部組だからもちろん顔は知ってるけど、付き合いはほとんどない。
「二宮くん…?」
中丸は明らかに泣いていたと分かるニノの顔を見て一瞬怪訝な顔をしたけれど、特に何も触れなかった。
「今日は大野くんと松本くんと一緒なんだね」
「うん」
中丸は優しい顔をしてそれだけ言うと、俺たちから少し離れた所に腰を下ろした。