第20章 想い届く
「俺は欲張りだからニノも潤もどっちの手も離したくない!潤と付き合うことになったとしても、俺はニノのことが大好きだよ!その気持ちは絶対変わらない!誰がなんて言おうと…例えニノに言われたって、俺は絶対ニノから離れない!」
智が力強く言い切ると、ずっと黙って聞いていたニノの瞳からポロポロと涙が溢れた。
「智ぃ…ふえぇっ…」
「ニノ!」
子どもみたいに声を上げて泣き始めたニノを智が力いっぱい抱き締める。
「智が一緒じゃないと、さみしかった…ずっと…ずっと心に穴があいたみたいだったよぉ…」
「ごめん、ごめんね…さみしい思いさせて本当にごめん」
智にしがみついて泣きじゃくるニノの背中を智が優しく撫でる。
「もう二度とこんな風に泣かせないから」
涙を拭ってやって、優しく微笑みかけて。
まるでこっちがカップルみたいだ。
また、ふっと笑いがこみ上げる。
本当、智はニノが絡むと男前になるよな…
翔より数倍カッコいいじゃねーか。
翔もこれくらいの男気をニノに見せられればいいのに…
今もウジウジ落ち込んでいるであろう翔の姿を思い浮かべたら、ついため息がこぼれた。
それがニノに聞こえてしまったらしい。
ニノがハッとしたように俺を見て。
慌てたように智から離れようとする。
ああ、誤解させちまったか…
悪いことをした。
この際だからニノにもちゃんと言っておいた方がいいかもしれないな。
「俺のことは気にすんな。今まで通りでいろよ」
「え?」
安心させてやりたくてそう伝えたら、ニノは意味が分からなかったのかポカンとした。