第20章 想い届く
「俺、ニノに嘘つけなくて…」
「うん…」
「でもあんなこと言う必要なかったのに…」
「うん…?」
ポツリポツリと話し始めてくれたのはいいんだが、具体的なことが何一つ伝わってこない。
「そもそもニノとなんの話をしたんだ?」
「………潤と俺の話」
「はい?」
ニノと翔のことじゃなくて?
俺たちの話?
それもこのタイミングで?
どんなに聞いても智は具体的な会話の内容は教えてくれなかったけど。
俺が智に告白したことをニノが知ったっぽいことは分かった。
ついでに、返事が保留になってることも。
その理由がニノたちのことだってのも。
智は話してしまったのかもしれない。
ニノは自分のせいだと責任を感じてしまったのだろうか。
それが智の言う傷つけたってことなのかな…
俺の告白からどうして智と友だちをやめるってことまで話が飛んだのかは分からないけど。
既にボロボロだったニノには受け止めきれなかったのかもしれない。
「ごめんな…俺が後先考えずに告白したせいだな」
俺も責任を感じてしまう。
あんなタイミングでうっかり告ってなきゃ、智がこんなに泣くこともなかった。
でも智は必死に首を横に振った。
「ちがう…俺が悪いんだ…潤のせいでも、ニノのせいでもない…俺が…」
智の目からまた涙が零れ落ちた。
「智も悪くないよ」
たぶん誰も悪くないのに。
どうしてこんなことになっちゃったんだろうな…
やるせない気持ちになりながら、もう一度智を抱き締めた。