• テキストサイズ

キミのとなりで【気象系BL】

第20章 想い届く



拭っても拭っても智の涙が止まる気配はなくて。

それならもう気が済むまで泣けばいいと、智をそっと胸に抱き込んだ。

嫌がられるかとも思ったけど、智は逆に俺にしがみついてきて。

しっかり抱き締めながら、俺を拒絶しないでくれて良かったと心から思った。

智がこんなに泣くなんて、ニノ絡みなのは確かだろうけど。

さっきの流れからどうしてこんな状況になったのか…どんなに考えてもさっぱり分からない。

早く智を泣き止ませてやりたい。

智が落ち着かないことには話が聞けないってのもあるけど。

単純に智が泣いてるのを見るのは辛い。

最初から一緒にニノを追い掛けていれば…と、後悔する。

それでも智を1人で泣かせないで済んで本当に良かった。

俺に出来ることなんてあまりないかもしれない。

けど、智が泣き止むまで抱き締めていることは出来る。

泣き止んだら話を聞こう。
何かあったんだろうから、一緒に解決策を考えよう。

智を1人で泣かせたりしない。
1人で苦しませたりしない。

こんなに大切で愛おしい存在にそんなこと出来るわけがない。

智を抱き締める腕に力を込めながら、同じように泣いてるであろうニノを思って切なくなった。

同時に何もしなかった翔への怒りが湧いてくる。

なぁ、翔。
お前も同じはずだろ?

ニノのこと何よりも大切に想ってるんじゃないのかよ?

きっとニノは今も1人で泣いてる。
昨日みたいに…いや、きっと昨日以上に、だ。

お前はそれでいいのか?

誰よりも何よりも大切な人を1人で泣かせてなんとも思わないのかよ?

/ 803ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp