第19章 勘違い
呼吸を整えながら、ニノが俺をじっと見つめる。
「なに?」
「なんで追い掛けてきたの…?」
聞いてみたら、悲しそうな顔でそんなことを言われた。
もしかしてニノは1人になりたかったのかな?
追い掛けてきたのは迷惑だった?
でもニノのことが心配なんだよ。
1人にしたくない。
1人で泣かせたくない。
俺が答える前に、またニノが口を開く。
「…俺、智にも甘えすぎてたよね」
まぁ、それは否定しない。
正確には俺がそうしたくてニノのことを甘やかしてたんだけど。
「俺…智と潤くんのことまで邪魔したくないよ…」
ああ、まだニノの誤解は解けてないのか。
…まぁ、そうか。
翔くんは言い訳はめちゃくちゃ並べ立ててたけど、一番肝心なことは伝えなかったんだから。
雅紀とのことは百歩譲って誤解だと信じたとしても、翔くんにニノじゃない好きな人がいるって思い込みは消えるはずがない。
「ニノが邪魔なんて、そんなことあるわけないでしょ」
ニノにこれ以上変な誤解させちゃいけないと思って、すぐに否定したけど。
潤に、ニノと翔くんが落ち着くまで待ってって言ったことが頭をよぎる。
もちろん、そんなのニノのせいじゃない。
絶対違う。
俺が勝手に決めたことだ。
でも余計なことを考えたのが、顔に出てしまったみたいだった。
「…智、もしかして潤くんと何かあった?」
ニノは何かを読み取ろうとするみたいに、眉間にシワを寄せながらじっと俺を見つめてきて。
まっすぐ合わされた目に嘘はつけないって思った。
そもそもニノには嘘が通用しないんだよ。
なんでかすぐ嘘だってバレちゃうんだ。