第19章 勘違い
ーOsideー
「待って!待って、ニノ!」
ものすごいスピードで走るニノを必死に追い掛ける。
こんなに全力で走るなんていつぶりだろうか。
「ニノ!」
何度呼び掛けてもニノは足を止めないし、振り返りもしない。
聞こえてないのか、聞こえないフリか。
分からないけど、このまま放っておくなんて絶対出来ない。
翔くんは追い掛けて来ない。
でも、もう知らない。
あんな場面になっても何も言わない。
走り去るニノを追い掛けもしない。
もういいよ。
心底ガッカリした。
あんなヘタレには大切なニノを任せられない。
ぐっと奥歯を噛み締めて走るスピードを上げる。
ニノは足が速いけど、本気を出したら俺の方が速い。
少しずつ近付く背中に必死に手を伸ばす。
「…ニノっ!」
やっと届いた細い腕を力任せに掴んだら
「えっ!?さとっ…!?」
ニノはすごく驚いた顔で振り向いて。
ついでに足も止まってくれたから、ニノの腕を掴んだままズルズルとしゃがみこんだ。
「はぁっ…」
すっかり上がってしまった息を整える。
引きずられるように隣に座り込んだニノもゼェハァと肩で息をしている。
しばらく喋ることが出来なくて、2人並んで呼吸を整えることに集中した。