第19章 勘違い
……え?じゃあ、なに?なんなの?
なんで当たり前みたいな感じで翔ちゃんがここにいるの?
昼休みだよ?
雅紀とご飯食べなくていいの?
混乱して何も喋れない俺に、翔ちゃんはますます心配そうな顔になって。
「体調悪い?日差しはあるけど空気が冷たいから、体が冷えちゃったかな?」
落ちかけてたブレザーを拾って、くるりと俺を包み込んでくれた。
変わらない優しさに泣きたくなる。
あったかい…
何がなんだか分からないけど、その暖かさにちょっとホッとした。
でもよく見れば翔ちゃんはセーター姿で。
これ翔ちゃんのじゃん!
そうだよ、俺ブレザー脱いでないもん。
もしかして寝てる俺に掛けてくれてたのかな。
翔ちゃんずっとこんな薄着でいたの?
慌てて脱いで翔ちゃんに返す。
翔ちゃんはちょっと悲しそうな顔になったけど、そんなの知らない。
「翔ちゃんが着て!翔ちゃんが風邪引いちゃうよ!」
「俺は大丈夫だよ…」
「ダメ!!」
翔ちゃんがもう一度俺の肩にブレザーを掛けてくれようとするのを全力で突っぱねる。
「…翔ちゃんが具合悪くなったら雅紀が悲しむよ?」
雅紀の名前を聞いた途端に翔ちゃんがハッとしたのが分かった。
自分で言ったのに胸が痛い。
涙が出そうだ。