第19章 勘違い
中庭に着くと、ニノがベンチで寝てた。
ああ、俺の勘は間違ってなかった。
ちゃんと居てくれたことにホッとする。
猫みたいに丸くなって眠るニノの隣には翔くんが座ってて。
ニノに自分のブレザーを掛けてあげて、優しく髪を撫でている。
「どうしよう…2人にしてあげる?」
その穏やかで幸せな光景についそんなことを言っちゃったけど。
「いや、何もなければそうしてやりたいけど…起きたときにニノがパニックになるかもしれないからな…」
「そうだよね…」
俺たちは昨日泣きじゃくっていたニノを見ているから、どうしても心配になってしまう。
今のニノじゃ、目が覚めたらいきなり翔くんと2人きり…なんて、耐えられるか分かんないよね。
潤は俺が頷いたのを確認すると
「じゃあ、俺パンかなんか買ってくるわ…4人分。雅紀にも連絡しとく」
なんでもないことみたいに言って、踵を返そうとする。
それを聞いてハッとした。
昼ごはんのことなんて全然頭になかった。
悪いけど雅紀のことも。
俺ニノのことしか考えてなかった…
冷静な潤が頼もしい反面、自分がちょっと情けなくなる。
「ごめん…」
「謝んなよ」
つい謝ってしまった俺に潤は優しく微笑むと
「智はニノのそばに居てやって…その方がいいと思うから」
「うん、ありがとう」
「すぐ戻る」
くしゃっと俺の頭を撫でてから、足早に去って行った。