第19章 勘違い
休み時間の度に、現実から逃げるように小さく丸まる俺を智が抱き締めてくれて。
何度も大丈夫だよって繰り返し囁いてくれる。
智の体温に包まれてるとすごく安心する。
大好きな智。
でも、智の腕の中で急に不安になった。
智の優しさに甘えて。
俺は智と潤くんの邪魔もしてるんじゃない?
こうやって俺を抱き締める智を見て、潤くんは今どんな気持ち?
翔ちゃんと雅紀のことには、情けないけど全然気付けなかった。
でも智と潤くんの気持ちは知ってるんだ。
それなら出来ることはある。
もう、智に甘えるのはやめよう。
これ以上、智を俺に縛っちゃダメだ。
智の時間は俺じゃなくて潤くんに使ってほしい。
「智、ごめんね…」
たくさん甘えてごめん。
もしかしたら俺は翔ちゃんたちだけじゃなくて、智たちの邪魔もずっとしてたのかもしれない。
でも遅いかもだけど気付いたから。
もう邪魔はしない。
小さな声しか出なかったけど、この距離だから智にはちゃんと届いたみたい。
「何を謝るの?」
戸惑ったように聞き返される。
「ごめん…ごめんね…」
「ニノ?謝らないでよ」
まるで小さい子をあやすみたいに、優しい手は止まらずに俺の背中を擦り続けてくれてる。
ごめんね。
これを最後にするから…
智は潤くんと幸せになってね。