第19章 勘違い
昼休みのチャイムが鳴るのと同時に、そっと教室を抜け出した。
なんの目的もなく、ふらふらと校内を1人で歩く。
昨日も感じた違和感は今日も消えない。
さみしい…
でもこれからは、これが当たり前になるんだから、早く慣れなきゃね。
ふらふら歩いてたら、中庭に着いた。
学食で食べるようになる前…
翔ちゃんたちと仲良くなる前は、ここで智と雅紀と3人で食べてた。
まだ1年も経ってないのに、なんだかすごく昔のことみたい。
外で食べるご飯は美味しくて、人が少ないから気楽で。
俺は好きだった。
でもそれ以上に翔ちゃんと一緒に食べるのが嬉しくて楽しくて幸せだった。
美味しそうに口いっぱいにご飯を詰め込む翔ちゃんが可愛くて。
時々あーんって食べさせてくれるのが嬉しくて。
でももう見れないし出来ないんだ…
これからはまたここで食べようかな。
1人で。
なんか食欲なくて今日は無理だけど。
空いてるベンチに座ると、図書館が見えた。
試験前や夏休みに翔ちゃんと2人で通ったな。
もうあの窓際の席に翔ちゃんと並んで座ることはないんだな。
これからは全部全部、雅紀とになるんだ…
目の奥がじわっと熱くなったから、慌ててぎゅっと瞑る。
今日の俺はすぐ泣いちゃうから、今は色々考えるのはやめよう。
日差しがポカポカあったかい。
気持ち良いな…
特にすることもない俺は、目を瞑ったまま日向ぼっこを楽しむことにした。