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キミのとなりで【気象系BL】

第19章 勘違い



みんなの背中を見送って、大きく息を吐いた。

もう結構な時間だ。
でもどうせならもっと遅く行こう。

その方が誰とも会わずに済むし、そしたら話し掛けられることもないから。

何度か深呼吸して気合を入れて。

遅刻ギリギリの時間に家を出た。


学校に来たのはいいけど、授業は全く頭に入ってこない。

いつもなら翔ちゃんとお喋りしてあっという間に過ぎちゃう休み時間も、今日は異様に長く感じる。

ちょっとでも翔ちゃんを見たら、その声を聞いたら泣いてしまいそうで。

目を瞑って、耳を塞いで、小さく丸まってただ時間が経つのを待った。

そしたら、ふいにふわりと誰かに包み込まれた。

「ニノ」

優しく名前を呼ばれる。

声を聞かなくても智だって分かってたよ。

でも顔は上げれない。
口も開けない。

またみっともなく泣いちゃいそうだから。

でも智は気にした風でもなく、優しい手つきで頭や背中を撫でてくれる。

「ニノ、大丈夫だよ…昨日ニノが聞いたのはやっぱり誤解だって…」

耳元で俺にしか聞こえないように智が囁く。

「大丈夫だから、翔くんと雅紀の話を聞いて…」

智は翔ちゃんたちから何か聞いたのかな。

でも、俺ははっきり聞いたんだよ?
自分の目でちゃんと見たんだよ?

2人とも本気だった。
本気で気持ちをぶつけ合ってた。

それが誤解ってなんなの?
そんなの信じられないよ。

心の中だけで反論する。

実際には無反応なんだけど、そんな俺の態度にも智はめげることなく、ずっと抱きしめて大丈夫だよって言い続けてくれた。

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