第19章 勘違い
本当は学校なんて行きたくない。
休んでしまいたい。
精神的に参ってるせいか、それとも単純に寝てないからか、体が怠くてしんどいし。
何よりまだ翔ちゃんと雅紀に普通の顔して会える自信がない。
でも今日頑張らないとダメな気がした。
こんなの先延ばしにしたってきっと変わらないし、むしろ余計行きづらくなりそうだから。
ため息を吐きながらノロノロと制服に着替えて。
何気なく窓から外を見たら、いつもの場所に翔ちゃんの姿を見つけて。
ドキッと心臓が飛び跳ねた。
翔ちゃんがこっちを向いてたから慌ててカーテンの影に隠れる。
なんで?
俺、一緒に行くのやめようって言ったよね?
時計を見たら待ち合わせの時間なんてとっくに過ぎてる。
いつからそこにいるの?
俺のこと待ってくれてるの?
携帯の電源を切ったままだから、なんで翔ちゃんが今日もそこにいるのか分からない。
分からないけど、昨日までと変わらず待ち合わせ場所に立ってる翔ちゃんの姿を見たら、涙がこみ上げて来た。
本当はすぐにでも翔ちゃんのところに走って行きたい。
でも翔ちゃんの隣はもう俺の場所じゃない。
………雅紀のだもん。
泣きそうなのを唇を噛んで我慢する。
姉ちゃんが色々してくれたのが台無しになっちゃうから、泣いちゃダメだ。
泣きたくないなら見なきゃいいのに、それでも翔ちゃんから目を離せない。
見つからないように隠れながら様子を見ていたら、しばらくして智がやって来て。そのすぐ後に雅紀と潤くんも来て。
みんなで待ち合わせしてたの?
4人揃ったのに動かないのは、もしかして俺のことも待ってる?
なんで??
訳が分からないけど、あそこに何でもない顔で合流するなんて出来ないのだけは確かで。
4人が学校に向かうのを確認するまで、その場でじっと立ち尽くしていた。