第19章 勘違い
ーNsideー
寝たんだか寝てないんだかよく分からないまま朝を迎えた。
頭がボーッとして重たい。
とりあえず顔を洗おうと洗面所に行ったら、鏡に映った自分の顔の酷さに笑ってしまった。
目がパンパンに腫れててお岩さんみたい。
クマもひどいし、顔色も悪くてなんか青白いから、本当にお化けみたい。
冷たい水をバシャバシャ掛けてみても何も変わらない…まぁ、どうでもいいか。
どうせ俺の顔なんて誰も気にしないよ。
「………おはよ」
「おはよ…って、カズ!?」
食欲なんてカケラもないけど、水くらい飲もうとキッチンに顔を出したら、びっくり顔の姉ちゃんにとっ捕まった。
「もう、ひどい顔して…」
姉ちゃんは何か聞きたそうな顔をして俺をじっと見てたけど、結局何も言わなかった。
何か察してくれたのかな…
姉ちゃんは黙って温かいタオルと冷たいタオルを用意して、交互に目に当ててくれて。
ついでにクリームを使ってマッサージまでしてくれて。
顔なんてどうでもいいと思ってたけど、姉ちゃんの優しさを突っぱねることは出来なくておとなしくしてた。
全部終わる頃には俺の顔はだいぶマシになってて。
「ありがと、姉ちゃん」
「どういたしまして」
素直にお礼を言ったらにっこり笑ってくれた。
きっと、いろいろ聞きたいはずなのに
「学校行くの?」
「…………いく」
それだけ確認すると、えらいって頭を撫でてくれて。
やっぱりそれ以上は聞かないでくれた。
姉ちゃんの手があったかくて、またちょっと涙が出そうになった。