第19章 勘違い
授業中もニノの様子が気になって、チラチラとニノに視線を向けてしまう。
真面目に授業を受けてる風だけど、黒板に向けられた瞳はボンヤリしていて何も写してはいなさそうだ。
手も全然動いていない。
智に視線を移すと、心配そうにニノを見ていた。
ニノのことが気になって珍しくよく眠れなかったって言ってたから、授業中寝てしまうんじゃないかと思ってたけど。
普段から何もなくてもよく居眠りしてるし。
でも今日はそれどころじゃなさそうだ。
ボンヤリしてるニノより、なんなら智のが泣きそうな顔をしていて。
智は本当にニノのことが大好きだよなーなんて、改めて実感して。
こんな時だけどちょっと微笑ましい気持ちになる。
ニノを心配して泣きそうになってる智が愛しい。
泣きたいなら泣いたらいい。
その時は俺が涙を拭ってやるから。
智が嫌じゃなければ、涙がとまるまで抱き締めてあげる。
まぁ本当はね。
智にはいつだって笑っててほしいけどね。
でも、そのためには…
智の笑顔にはニノの笑顔が必要なんだよ。
だからいつまでも情けない顔してないで頑張ってくれよ。
智と同様に泣きそうな顔でニノを見てる翔に心の中で話し掛ける。
早いとこニノの誤解を解いて、笑顔を取り戻してくれよ。
お前にしか出来ないんだから…
頼むぜ、翔…
ニノと翔と智の顔を交互に見ながら、一刻も早い解決を心から願った。