第19章 勘違い
-Mside-
結局ニノは始業時間ギリギリに教室に滑り込んできた。
今日はもう来ないんじゃないかって思い始めていたから、休まず来たことにホッとする。
そわそわ待っていた翔も智もニノの姿を見てパッと顔を輝かせたが、その顔はあっという間に曇った。
ニノの目は真っ赤で、まぶたが腫れていて。
顔色も悪く元々白い顔がいつも以上に真っ白だ。
顔が白い分、目の下のクマが目立つ。
もしかしたら一晩中泣いていたのかもしれない。
昨日の様子を思い出して、あの後も1人で泣き続けていたのかと思ったら胸が痛んだ。
翔は目を見開いてニノを見つめたまま固まったように動かない。
昨日散々ニノが泣いていたと伝えはしたけれど、ただ言葉で聞くのと、実際に自分の目で見るのとではやっぱり全然違ったんだろう。
泣き腫らした顔で明らかに元気のないニノの姿は、翔が想像していたよりひどい状態なのかもしれない。
自分のせいで好きな子がこんなになってたらそりゃショックも受けるか…
動かない翔はひとまず置いといて、すぐに駆け寄ろうとした智の後を追うけど。
ニノはこちらを見ようとしない。
誰とも目を合わせないように俯いたまま足早に自分の席に向かう。
ニノが席につくのと、先生が扉を開けるのがほぼ同時くらいだったから、結局ニノに話し掛けることは出来なくて。
もしかしたら、ニノはそこまで計算してこの時間に登校してきたのかもしれない、なんて思った。