第19章 勘違い
そのまま4人でニノを待ってたけど、ニノは一向に現れない。
「ニノ、来ないね…」
そろそろ学校に向かわないと遅刻してしまう。
「もしかして先に学校行ってたりしないか?」
「それはない」
潤が確認するように呟いたら、間髪入れずに翔くんが否定した。
そんな断言できるってさ…
「…お前いつからここで待ってるんだ?」
「………」
潤も同じことを思ったみたいだけど、翔くんは答えなかった。
でもたぶん、普段よりずっと早い時間からここにいるんじゃないかな。
「家まで迎えに行く?」
「うーん…」
雅紀の提案に、潤は少し考えてから首を横に振った。
「いや、学校で待とう」
「いやだ!」
すぐ声をあげたのは翔くんで。
「俺はカズと一緒に行く…カズが来るまでここで待つんだ…」
小さい子みたいにダダをこねる。
「ニノさ、もしかしたら家から俺たちの様子を伺ってるかもしれないだろ?」
そんな翔くんに潤が冷静に言い聞かせる。
「それで姿を現さないんだとしたら、俺たちがここにいる限りニノも学校に行けないだろ?」
「でもっ…」
翔くんは納得いかないのかまだ反論しようとしたけど、俺は潤の言ってることは当たってる気がして。
「それはあるかも…そうだね、先に学校に行こうか」
「智くんまでっ…」
翔くんが非難めいた目を俺に向けたけど
「もし万が一ニノが休みだったら、帰りに寄ろうぜ」
潤は強引に話をまとめると、翔くんの腕を掴んで引きずるようにして歩き出した。
俺はもう一度ニノの家に視線を向ける。
ニノ、待ってるから…
早くおいでね…
心の中でニノに呼びかけてから、前を歩く3人の背中を急いで追い掛けた。