第19章 勘違い
昨日の雅紀とのやり取りを思い出しながら、足早にニノんちの近くの公園に向かった。
毎朝ニノと翔くんが待ち合わせしてる場所。
俺にとっては早い時間だけど、いつもならこの時間にはニノたちはもう学校にいる。
でも今朝は翔くんが1人泣きそうな顔で立っていた。
きっとそうだろうと思ってたけど、やっぱりニノは来てないみたいだ。
翔くんもよく眠れなかったんだろうな。
目が赤いし、目の下にはうっすらクマが出来てる。
「おはよう、翔くん」
「おはよう、智くん」
そっと近づいて声を掛けたら、情けない顔のままだったけどちゃんと挨拶を返してくれた。
「ニノはまだ?」
「うん…」
見れば分かるけど一応確認して。
「俺も一緒に待っていい?」
「うん…」
聞いてみたら翔くんはすんなり受け入れてくれた。
いつもだったら2人の時間を邪魔したくないから、俺だってこんなことしないけど。
今日だけ特別だから…ごめんね。
心の中で翔くんに謝る。
昨日、家に帰ってから俺も何度か電話したけど、ニノの携帯は電源が切られたままで。
どうしてもニノのことが心配で。
ニノが学校に行くには絶対ここを通らなきゃだから、ここで待ってれば絶対会えるから。
俺も少しでも早くニノに会いたかった。
特に会話もないままじっとニノを待っていたら、あまり経たないうちに潤と雅紀もやって来た。
2人もニノのことが心配だったんだと思う。
いつもの登校時間より早い。
黙って並んでる俺たちを見て状況が一瞬で分かったんだろう。
雅紀がシュンと落ち込んでしまって、潤が励ますようにその肩を叩いてやってた。