第19章 勘違い
2人が帰った後も、雅紀は責任を感じて落ち込んでしまってて。
「…ニノ、そんなに泣いてた?」
「うん、かなり…あそこまで泣いてるの初めて見た…」
心配そうな雅紀に、ちょっと迷ったけどやっぱり嘘はつけなくて。
そのまま伝えたら雅紀の肩が目に見えて下がった。
「俺のせいで…俺が余計なことしたから…」
「そんなことないよ」
自分を責める雅紀の背中を励ますように擦ってやる。
そりゃ俺も話を聞くまでは、ニノをあんなに泣かせたことにめちゃくちゃ怒ってたけど。
雅紀は本当にニノのことを思ってて。
ニノのために何かしてあげたい一心での行動だったって分かったから。
もう雅紀を責める気持ちなんて微塵もない。
ニノと翔くんを何とかしたいって思う気持ちは俺にだってあった。
でも何も出来ないでいた俺と違って、雅紀はちゃんと行動に移したんだ。
それってすごいことだよ。
「雅紀は悪くない。本当に運が悪かったんだよ」
まさかそこに偶然ニノが居合わせてしまって、そのうえ変な誤解までするなんて、そんなこと誰にも予想できなかったと思う。
「明日ちゃんと説明すれば大丈夫だから…ね?」
「…うん」
誤解だって分かればニノだってまた笑顔が戻るはず。
「あんまり役に立たないかもだけど、俺もついてるから」
翔くんがいれば俺なんか必要ないと思う。
俺は口下手で話すの得意じゃないし。
でも知らん顔なんて出来ない。
こんなにニノのことを想ってるのに、ニノのために翔くんの背中を押した雅紀。
ニノだけじゃなくて、俺は雅紀も心配なんだよ。
「智がいてくれたら心強いよ、ありがとう」
俺の気持ちはちゃんと伝わったみたいで、雅紀はにっこり笑ってくれた。